古湯と熊の川温泉の中間に位置する奇岩の地「雄淵雌淵渓谷」。この渓谷には、ある伝説が言い伝えられています。かつて古湯村の若者と熊の川村の庄屋の娘が恋に落ち、この渓谷で逢瀬を重ねていました。しかし親の反対が激しく、二人はやむなく村を離れこの渓谷で暮らすことにしました。そして、幾星霜の歳月が過ぎた夏のある日のこと... 筏流しの木材が川に沈んで浮かんでこなくなり、潜りの達人が淵の底まで木材を探しに行きました。淵の底で木材は見つかりましたが、なんとその上には、あの若者と娘が座っていたのです。二人がここにいることを口外しないと誓うと、木材は無事戻って来ました。その後若者は雄淵の岩に、娘は雌淵の岩にそれぞれ姿を変え、今もひっそりと渓谷に佇んでいます。 そんな伝説の残る渓谷を眺めていると、重なり合う奇岩や青く深い流れから、どこか神秘的でスピリチュアルなパワーを感じました。 渓谷の伝説に思いを馳せつつ、まずは駐車場からほど近い「雄淵の滝」へ。75mの落差を誇る滝は涼しげな水しぶきと豊富なマイナスイオンを発生させ、近づくと天然のクーラーのような涼感を感じます。しばらくその場に佇んでいると、爽快な空気とマイナスイオンをたっぷりと吸収して、猛暑に参っていたカラダもなんだかちょっと元気になった気がしました。
ユーモラスな表情がかわいいカジカガエルの像。 近づいて見るとけっこうな大きさです。 |
滝のそばではひんやりとした空気に包まれました。 近くで見る滝は大迫力です! |
「なるせばし」中央の欄干から渓谷を眺めました。 |
木漏れ日の下に佇む郭沫若記念碑。 碑文には、雄淵雌渕渓谷の情景を 描いた文章が刻まれています。 |
郭沫若記念碑のそばにある休憩スポット。 川の流れる音を聞きながら、ほっとひといき... |
湧き水がこんこんと湧き出る場所を発見。 水の冷たさに感激! |
国道323号線を北山方面へと上っていくと、右手に「子安神社」が見えてきます。もともとは栗並地区にあった安産の神様を祀る神社で、平成16年にこの場所に移築されました。元の神社近くには巨大な二対の「夫婦岩」があり、良縁と安産にご利益があると伝えられています。 夫婦岩の起源には諸説ありますが、代表的なものの一つは、大ナマズに乗った神様が岩を残した、というものです。大ナマズに乗った神様が大岩を持って川を遡っていたところ、岩の重さに耐えかねて、遂に大ナマズが力つきてしまいました。大ナマズを不憫に思った神様が手に持っていた大岩を下ろしたところ、大ナマズが息を吹き返したそうです。その岩が今も夫婦岩として残されている、というものです。 もう一つの代表的な説には、悲しい夫婦のエピソードが秘められています。古湯から栗並に嫁いだとある娘が、やさしい夫と仲むつまじくくらしていました。しかし、なかなか子を産めない嫁に怒った姑は、嫁を家から追い出してしまいます。実家にも帰れない嫁は、哀しみのあまり淵に身を投げ、その身を大きな岩へと姿を変えました。嫁を心配して探しにでかけた夫は、嫁の変わり果てた姿を目にし、自らも淵に身を投げ同じく岩となります。二人を不憫に思った時の豪族・栗並因幡守は、その岩を子安神社に祀り供養しました。それから現在まで、夫婦岩は良縁と安産の守り神として地域の人々に親しまれています。 現在の子安神社には夫婦岩のレプリカが設置され、安産を祈る参拝者達をやさしく見守っています。
境内に置かれた夫婦岩のミニチュア。 |
子安神社の神様に、良縁をお願いしました。 |
天山リゾートへと続く県道37号線の途中、食事処「野うさぎ」の少し手前の道を市川の集落へ入っていくと、木漏れ日に照らされた「諏訪神社」があります。この神社は諏訪明神の分霊を勧請し、文政6年(1823年)に拝殿を再建、明治6年に寺社となったもので、武御名方神や産霊神、源義経などを祀っています。 神社の境内は大きなクスノキの日陰になっていて、日中でもひんやりとした空気に包まれています。境内の横を流れる小川のせせらぎも気持ちよく、流れも穏やかなので水遊びもできそう。境内の西側は苔むした岩壁になっていて、見上げるほどの大きさの巨岩もありました。木漏れ日の下で苔むした巨岩を眺めていると、日々の喧騒を忘れて、とても落ち着いた気持ちになれます。何か特別な場所ではないけれど、そこにいるだけでどこか懐かしくて不思議に心が落ち着く、そんな素敵な場所でした。
苔むした岩壁を長めながら歩くと、子供の頃にタイムスリップしたような不思議な懐かしさを感じます。 |
境内には、見上げるほど巨大な岩がありました。 |
神社の横を流れる清流。暑い日の水遊びにはもってこいです。 |
「ダムの駅・しゃくなげの里」から少し北に上った辺り、「田舎のコンビニ」近くの国道脇に、座るのにちょうどいいくらいの石がぽつんと置かれています。この石は「太閤石」と呼ばれ、その名の通り太閤豊臣秀吉が名護屋城へ向かう道中、この石に座ってひとやすみしたという言い伝えがあります。もともとは西畑瀬の田んぼの中にあったそうですが、現在はこの位置に移転されました。一見何の変哲もない石ですが、そんな言い伝えを聞くと、なんだかとてもありがたい石に見えてくるから不思議です。これは是非自分も座ってみたい、と思ったのですが、「太閤秀吉様が座った石に座るなど畏れ多い!」とのことで、地元のみなさんはこの石にはまず座らないのだとか。ちょっと腰掛けて天下人気分を味わってみたいところだったんですが、残念です... 石には座れなかったのですが、すぐそばには湧き水スポットがあり、冷たくておいしい水を汲むことができます。太閤石見物のついでに、ぜひ寄ってみてください。

太閤石から道をはさんだ反対側にある湧き水スポット。
建設中のダムの様子を眺めながら水を汲むことができる。